高齢者の転倒
実は、65歳以上のシニアの死亡事故でもっとも多いのが家庭内の事故。意外と思いませんか?
厚生労働省の人口動態統計(2010年)によると、その数は年間11,429件で、同じく交通事故死の3,774件を大幅に上回っています。ちなみにわが国における家庭内の死亡事故の総件数は14,249件ですから、65歳以上のシニアは、なんと80%を占めていることになります。
主な事故原因は以下の」通りです。
第1位(33%)の「溺死及び水死」は主に浴槽。
第2位(30%)の「窒息」の多くは食事などがのどにつまってしまったものでしょう。
第3位(18%)の「転落・転倒」は、階段や廊下、さらに床の段差でつまづいたケースなどが考えられます。
私が驚いた事実は、2,112件ある「転落・転倒」による死亡事故数です。今、最も増えている死亡事故で、交通事故死に迫って来ています。
このような事故は、たとえ命が助かっても、『寝たきり』など、その後の生活に大きな影響を及ぼすことは必至です。家庭内事故を未然に防ぐことは、介護の一環としても重要な意味を持っているのです。
「窒息」に関しては、食事を食べやすくするよう配慮するだけで、多くのリスクを取り除くことができるでしょう。
問題は、浴室や階段、廊下、床など、住宅を改修し、環境を整備しなければならない場合です。
ご存じの方も多いと思いますが、こんなとき介護保険では、一定の範囲の住宅改修を行った場合に、その改修に伴う費用が支給されます。限度基準額は20万円。そのうちの9割(最大18万円)が利用者に支給されます。
「20万円でいったいどれだけのことができるの?」と不安を感じる方も多いはず。そんな方は、住宅改修の助成制度のチェックをしてみることをお勧めします。
そして一番問題なのは、「転落・転倒」の結果、3人に1人が死亡、運良く生き残った残る2人に1人が『寝たきり』になってしまうことです。
寝たきりは、シニアが最も嫌がる、回避したい事なのです。なかば人生の終わりを意味してしまうほど避けたい事です。
今後、最も重要になってくる介護予防ということから考えても、寝たきり防止を目的とした下半身のケア、特に足・ひざ・腰のケアをしていくことが重要です。