食事のポイント


朝、ピカピカの太陽のもとでいただく朝食は、元気の源(みなもと)、心にもからだにも活力を与えてくれますね。高齢者の食事で大事なことは、まずは食事を楽しむこと、食事のリズムから生活のリズムを整えること、それから低栄養に気をつけることです。


食事を楽しむこと
四季の美しい日本では旬の食材も豊富、海の幸も山の幸も昔に比べれば、ずいぶん手軽に手に入るようになりました。家族や友人と語らいながら、または遠くにいる人を思いやりながら、食事を楽しむことは、気持ちの活性化につながり健康の秘訣となるでしょう。


食事のリズム 
食事を朝昼夕の毎日3回、規則正しい時間に食べることによって、生活全体のリズムを整えましょう。食事をおいしくする最高の味付けは、空腹感です。適度な運動をして、食事と食事の間の時間を空けて、おなかがすくリズムをつけましょう。仕事を退職したりすると、ついつい朝食と昼食が兼用になってしまう人もいるようですが、いろいろな栄養素をバランスのよく摂取するには、やはり食事の回数は3回が適当です。

そして、食事と食事の間のお楽しみ、“おやつ”を食べることも生活の歯車を軽やかにまわすための潤滑剤になります。太りすぎの人はおやつの食べ過ぎはよくありませんが、乳製品や果物を取り入れるなど、量と質を工夫しましょう。


低栄養に気をつける
低栄養とは、からだの必要量に対して、食べ物からとるエネルギーやたんぱく質などの栄養素が足りない状態を言います。高齢になると、太りすぎなどの栄養過剰症が心配な人よりも、低栄養状態に注意しなれければいけない人が増えてきます。

特に、やせている高齢者(BMI=体重(kg)/身長の2乗(m^2)が18.5未満)、または、半年の間に体重が2~3kg減少した方は、食 事のとり方に十分に気をつけてください。

からだの中の栄養状態を示す目安として、血色素量(ヘモグロビン値)があります。平成20年国民健康・栄養調査によると、血色素量 が低めの人は、高齢者になる程、たくさんいらっしゃることがわかります。

鉄欠乏性貧血を予防するには、肉・魚・卵・大豆製品・緑黄色野菜・海草などの鉄分の多い食品を積極的に食べるようにします。鉄の吸収をよくするために、動物性たんぱく質やビタミンCの豊富な食品をとることも重要です。

高齢者が低栄養状態になると、風邪を引きやすくなったり、軽い風邪をこじらせて肺炎になったりする可能性が高くなってきます。「高齢の方が体調を崩して1週間ほど寝込んでしまうと、元の生活のリズムに戻るまでにかなりの期間がかかってしまう」という話をよく聞きます。軽い風邪で寝込んでしまう状態から、寝たきりの状態を招くようなことは、ぜひ予防したいものです。