嚥下食 【飲み込みにくくなったり、むせたりする人の食事】


嚥下食とは、水や飲み物が飲み込めなくなったり、肺のほうに行ってしまったりするために口から食べられなくなった方が、食べられるようにするための食事です。

このような口から食べられないことを摂食・嚥下障害と言いますが、摂食・嚥下障害になると、栄養が取れなくて栄養失調を起こしたり、誤嚥により肺炎などの呼吸器の病気にかかったりしてしまいます。

食物などが肺へ入ってしまうことを誤嚥と言います。このような障害は様々な原因で起こりますが、日常最も多くみられるのは、脳卒中によるものです。


摂食・嚥下とは
摂食・嚥下とは、食物が口に取りこまれ、咀嚼(そしゃく)されながら食塊を形成して咽頭に送り込まれる過程と、食塊が咽頭を通過し食道に送り込まれる過程の、大きく分けて一連の二つの流れを指します。

特に食塊が咽頭を通過する後者の過程は、一連の嚥下反射として起こりますが、生命の危険につながる誤嚥が起こるときであり、まさに嚥下のポイントというべき大切な所です。

嚥下食は、摂食・嚥下障害の重症度や、どの過程の障害が主体であるかを考慮しながら作られます。


嚥下食もしくは介護食の作り方
 

1.介護食
 介護食(高齢者向けの食事)は、自分の歯を失ったり唾液の分泌が少なくなったりして咀嚼する力が低下しますので、咀嚼しやすい食事が中心となります。具体的には、一口で食べやすい大きさにする、野菜や芋類は隠し包丁を入れる、長時間火を通して軟らかくする、肉は薄切りを用いる、麺類は短く切るなどの工夫が必要となります。


2.嚥下食
重症~中等症では、ゼリー食が中心となります。嚥下食のゼラチンゼリーは、ゼラチン5gに対して液300ccで作り、健康な人が食べるゼリーよりも少し軟らかめのゼリーとなります。また、ゼラチンゼリーは室温30度で溶けますので冷えた状態で摂取することが大切です。

中等症では、ピューレ状のものが基本となります。やわらかく調理したものをミキサーやフードプロセッサーなどでペースト状にします。不向きなものとして、タケノコ、ごぼうなど繊維の多いもの、こんにゃくなどかみにくいもの、ゆで卵、カステラなどパサパサしたもの、酸味の強いもの、などがあげられます。水分には贈粘剤等でとろみをつけます。贈粘剤は、商品によりとろみのつき方、味などが違いますので用途に合わせた選択を行います。

中等症~軽症は、普通食への移行食であり、介護食に近いものとなります。 

嚥下しやすいまたは嚥下しにくい食物形態
嚥下障害の重症度に合わせた食事