軟菜食


介護食は、高齢者ひとりひとりの「噛む能力」「飲み込む能力」「消化吸収能力」に応じた工夫をします。
 

歯の欠損や義歯が原因で、固い食べ物がかめない人、胃腸が弱くて、揚げ物やコッテリした肉料理などの油っこい料理を食べると調子が悪くなる人、脳梗塞の後遺症などで、手が不自由で、箸で上手く使えない人は、軟菜食がおすすめです。


軟菜食の注意点
軟菜食は、基本的には家族と同じメニューで大丈夫ですが、よく煮込んで比較的柔らかめに仕上げたり、小さなスプーンで食べられる大きさにカットする工夫が必要です。

クリームシチュウの具の乱切りのにんじんや大きなジャガイモ、鶏肉は取り出して、まな板で薄くスライスして、舌でつぶれる位のやわらかさに煮込んでから盛り付けましょう。ハンバーグは同じ材料を使って肉団子のスープ煮込みにすれば、やわらかく仕上がるだけでなく脂肪も低くなります。付け合せの野菜も一緒にスープにすれば、栄養バランスのよい軟菜食の完成です。

 


軟菜食に適さない食品

軟菜食に適さない固い食品、噛み切れない食品、歯茎でつぶせない食品をリストアップしました。

噛む能力の低下の原因は、歯の欠損や義歯の状態が大きく影響します。義歯は入れ歯安定剤などで固定しながら使いますが、大きな口をあけて食べようとすると義歯が不安定になることがあります。
 

柿やリンゴなどの果物、軟らかい野菜などもうす切りにしましょう。トマトも“くし型切”よりも、厚さ5ミリ程度の“半月型切”が好まれます。レタスも手でちぎっただけでは、大きくて食べにくいので注意が必要です。


また、「ほうれんそうの胡麻和え」などのように、軟らかく調理した料理の中に、ゴマ粒のような小さくて堅い食品が混ざっていると、咀嚼(そしゃく:よく噛み砕いて味わうこと)しているうちに、ゴマ粒が入れ歯と歯茎の間に入ってしまい、とても痛い思いをします。ゴマは「いりゴマ」ではなく「すりゴマ」や「練りゴマ」を使うと良いでしょう。
 

かまぼこ・ちくわは一見柔らかそうでも、弾力があり噛み切れないし、えびや貝類などは火を通しすぎると硬くなるので要注意食品です。


軟菜食に適した食材をバランスよく
食材料が限定されると、たんぱく質、ビタミン、食物繊維の不足が心配になります。鶏卵・豆腐、魚、肉、いも類、かぼちゃ、にんじん、根菜類などの軟菜食に適した食材をバランスよく使用するように心がけましょう。

また、介助者なしでも自分で食べられるということは自尊心を保つ上で重要なことです。食事は本来“楽しむ”のが目的!。苦痛があってはいけません。利き手が不自由になった人は、お箸を使うだけでもたいへんなのです。ご本人が希望すれば“おにぎり”にしてみましょう。御飯は軟らかめ、サイズは小ぶりにするのがポイントです。